派遣法3年ルールとは?3年ルールのメリット・デメリットなど
派遣社員には「3年ルール」というものがあるのをご存知でしょうか。この記事では、派遣社員の方が3年ルールについて知っておくべきことを、メリット・デメリットなども含め詳しく解説していきます。
派遣法の3年ルールとは
派遣法の3年ルールとは、有期契約の派遣社員は、最大で3年間同じ職場や部署で働くことができる制度です。3年を超えて同じ職場・同じ部署での業務継続を希望する場合は、その職場の正社員や契約社員・無期雇用派遣社員などに切り替えをする必要があります。
また、同じ職場でも部署異動があった場合は、勤続年数がリセットされます。たとえば最初の1年間総務部に派遣され、その後営業部に異動となった場合、営業部に異動した日から改めて3年間のカウントがはじまります。最短で正社員登用を目指す場合などは注意が必要です。
3年ルールが適用されないパターン
派遣法の3年ルールが適用されないパターンがあります。1つずつ見ていきましょう。
無期雇用の派遣社員
「無期雇用派遣契約」という、期限を定めない派遣の形態が存在します。2015年に労働者派遣法が改正され、新たに追加された制度で「常用型派遣」とも呼ばれます。派遣会社に雇用される形式となり、正社員雇用と同様に派遣会社からの採用選考・試験があります。
60歳を超えている派遣社員
60歳を超えている派遣社員も、3年ルールの対象外になります。派遣登録時に60歳未満であっても、3年目を迎える際の年齢が60歳を超える場合は対象外です。
その他のケース
その他にもいくつか、3年ルールが適用されないケースがあります。たとえば、期限のあるプロジェクトなどの業務にあたっている場合。また、産前産後休業や育児介護休業を取得する社員の代替業務で派遣された場合なども適用外です。
3年ルールのメリット
派遣社員の3年ルールにはどんなメリットがあるのでしょうか。
正社員などの無期契約される可能性が高くなる
3年ルールの大きなメリットは、3年経過後に派遣先企業に無期雇用される可能性が高まります。派遣社員は3年以上同じ職場・部署で働くことはできません。しかし、派遣先企業が継続して働いて欲しいと考え、派遣社員がそれに同意すれば、派遣先企業は派遣社員を直接雇用できます。
派遣先企業にとっては、新人を教育するよりも、入社3年目で仕事を熟知している派遣社員を雇った方が教育のコストもかからず理想的です。場合によっては、直接雇用が契約社員やパートタイムで行われることもあります。直接雇用のオファーを受けた場合は、契約条件をよく確認することが大切です。
派遣社員として働く期限が明確になる
2015年9月の派遣法改正前は、3年ルールは特定の仕事にしか適用されませんでした。その結果、10年以上も同じ企業に派遣され続けている人もいました。しかし、現在のルールでは、派遣社員は3年以上働けないことになっています。
つまり、派遣社員として3年間働いた後、無期雇用として現在の職場に勤め続けるか、別の雇用主のもとで働きたいかどうかを決めることができるのです。
3年ルールのデメリット
続いて、3年ルールのデメリットを見ていきましょう。
3年以内に契約解除される可能性がある
3年ルールといっても「必ず3年間は勤務できる」とは限りません。派遣社員を採用する企業は、自社で給与や社会保険などの福利厚生費の支払いなどコストを削減することが目的なので、よほどスキルの高い人材でなければ期限内で契約を完了させることを考えるでしょう。
また、元から期限が半年や1年以内と定められている契約もあるので、派遣される企業の業務内容などは事前にしっかり確認しておきましょう。
無期雇用派遣社員として採用される可能性がある
無期雇用派遣社員として派遣会社に雇用された場合、派遣先企業に直接雇用される可能性が低くなります。直接雇用を目指すのであれば、最長6ヶ月後に派遣先企業が正社員として登用するか審査する制度である「紹介予定派遣」に応募することを検討してください。
3年ルールを守ってない労働先もある?
派遣先企業によっては、3年ルールを遵守していない企業も見受けられます。たとえば、有期雇用派遣社員として採用したにも関わらず、3年以上継続して勤務させたり、無期雇用のはずが数ヶ月後に解雇となった事例などがあります。派遣先企業はもちろんのこと、派遣元の企業についても口コミなどを確認しておきましょう。
この記事では、派遣社員の3年ルールについて、メリット・デメリットなども含め詳しく解説しました。3年ルールは、派遣社員が無期雇用へのステップアップをしやすいように改正された制度です。今後も変更される可能性があるため、派遣労働に関する最新のルールを把握しておくことが重要です。
また、派遣社員を無期雇用で積極的に採用している企業もあります。安心して働くためには、派遣社員の3年ルールなどを理解していることが大切です。